Five Nights at Freddy’s : Security Breachとは?
今回は人気ホラーシリーズFive Nights at Freddy’sの最新作である、「Five Nights at Freddy’s : Security Breach(以下FNaF:SB)」のレビューをしていきます。
今作はFNaFシリーズとして初の探索型ホラー作品であり、発売前のファンからの期待度が高まっていた作品です。
ストーリー – あらすじ
舞台はFazbear Entertaiment社が運営する、巨大なテーマパーク「メガ・ピザプレックス」。
ここではピザなどの飲食だけでなく、様々なアトラクションや”マスコットキャラクター”たちによるライブを楽しむことが出来ます。
しかしとある日、ライブをいつものようにしていたフレディが原因不明のエラーにより故障。
修理が行われ、楽屋で目を覚ましたフレディは自身のお腹に誰かがいることに気づきます。
お腹のハッチの中にいたのは、自身を“グレゴリー”と名乗る少年でした。
「この場所から抜け出したい」と言うグレゴリーを、フレディは手伝うことにします。
プレイヤーは少年グレゴリーを操作し、メガ・ピザプレックスからの脱出を目指すのでした。
ゲームルール
ステルスホラー – 恐怖のアニマトロニクス達とかくれんぼ
今作はいつものFNaFとは一風変わって、アニマトロニクス達に見つからないよう店舗の散策を進めるステルスホラーアクションとなっています。
時にはゴミ箱の中に身を潜めたり、アイテムを使用してアニマトロニクスの捜索から逃れましょう。
アニマトロニクスから逃れるために一番重要なのが、ファズウォッチの監視カメラを適度に見ること。カメラで敵の位置を確認しながら前に進みましょう。
捕まるとゲームオーバー
過去作と同じように体力性ではないので、つかまってしまうと即ゲームオーバーとなります。
今作は雰囲気ホラーというよりも、ビックリ要素が強いホラー作品となっています。
レビュー前に知っておきたい事前情報
本作FNAF:Security Brachは2018年頃から開発が始まり、2021年12月に発売。開発はシリーズの作者であるScottCawthon、FNAF:HWを担当した「SteelWool Studios」が担当しました。
シリーズ初のAAA作品を目指し開発が進められ、当初は2020年後期に発売を予定していたものの例のウイルスの影響で延期され、2021年頭での発売が想定されていました。しかし開発を進めるうちにPS5でのローンチをSonyから誘われるなど、どんどんゲームの規模が大きくなり結局のところさらに延期せざるを得ない状況になったようです。
そしていよいよリリースされたわけですが、大量のバグと未完成な部分が目立ちプレイヤーからは批判の声が相次いでしまいました。その理由は明確で、開発期間が十分でなかったためです。
本作の主な開発を担当したSteelWoolスタジオの当時の従業員はなんと20人しかいませんでした。彼らは「2021年に発売する」と明言してしまっていたため、無理をして12月にリリースしてしまったのでしょう。我々プレイヤー側から見てもAAA級作品をたった20人で作るのには無理があるとわかりますよね….。
ですが発売後SteelWoolは猛反省したのか、従業員を倍以上の50人ほどに増やし(現在は60人を超える)、半年後には230個ものバグと未完成部分の修正を行うアップデートを行いました。そんなこんなで本作SecurityBreachはシリーズで最も高い売り上げを記録し、楽しめる作品へと生まれ変わりました。
(個人的にSteelWoolは反省を行動に移せる素晴らしい企業だと思います。)
このゲームのおすすめポイント
明るめの印象だがしっかりと怖い
本作の舞台は巨大なショッピングモールであり、かなり明るめの印象があります。おそらく皆さんが一番気になっているであろう「実際のところ怖いのか?」という疑問について答えましょう。
結論をすでに述べてしまっていますが、普通に恐怖を味わえる内容でした。ショッピングモールを散策するという本作のコンセプトですが、時には真っ暗な施設内で機械人形に追いかけられたり、不気味で思わず恐怖してしまうアニマトロニクスが登場したりなど、他のホラー作品に負けない独特な怖さがありました。
さらに一発のジャンプスケアで終わる過去作とは違い、それに探される怖さと追われる怖さが加わり恐怖度が増幅されているように感じました。
ハラハラ感が半端ないボス戦
このゲームには単なるミッションや散策だけでなく、各アニマトロニクスとのボス戦が控えています。
例えば巨大なロボットに追われながら広い施設内にあるブレーカーを起動させていくシーンや、アニマトロニクスを”破壊”するためにあれやこれやするシーンなど。
さらにボス戦中は恐怖を煽るBGMが流れ、より緊張感が増幅されます。
もちろんボス戦中のセーブは許されないため、捕まってしまったらまた初めからなんてことも。常に追われながら目標を達成していく、捕まったら終わりという状況がとてつもない緊張感とハラハラ感を生み出しています。
新しいゲームシステム
SecurityBreachではバンドメンバーの一員、「フレディ・ファズベアー」が攻略を手助けしてくれます。中でも魅力的だったのがこのフレディに乗り込み、彼を操作できるシステムです。
ピンチの時には彼を呼び、乗り込むことでアニマトロニクス達の捜索から逃れられます。ただし電源が制限されているため、長時間彼の中に居座ることはできません。
もし充電が切れてしまったら、各地にある充電スポットでフレディを充電することができます。
またストーリーでは彼との中を深めていく様子が描かれ、思わず感情移入してしまう場面もいくつか用意されていました。
テーマパークの雰囲気が味わえる
本作の舞台は80年代の雰囲気をテーマに作られた巨大なショッピングモール。入り口であるエントランスや、施設一の巨大さを誇るエリア「メインアトリウム」ではきらびやかな雰囲気を存分に味わえます。
さらにメインアトリウムに続き、巨大なゲームセンターやカートレース場などの数多くのアトラクションや、フードコートにも足を運ぶこととなります。
ディズニーリゾートやUSJなどのテーマパークの雰囲気を好むプレイヤーには刺さる内容となっているので、是非おすすめしたい。
開発陣のこだわり
今作で最もこだわりを感じたのが各キャラクターの動作です。
今作の敵であるアニマトロにクス達の、動き回る動作、追いかける動作、さらにはムービー内での動作がまるで本物のロボットを見ているかのような仕上がりになっています。
「SteelWool Studios」について説明しましたが、この会社はピクサーに長年勤めていた社員数名で立ち上げたゲーム開発会社です。なのでアニメーション技術においては彼らの得意分野なのです。
そのためゲーム中でたびたび使われるムービー、追いかけてくる機械人形の動作はインディーズとは思えない出来栄えです。
またBGMもよく作られており、何度も聞きたくなるような癖のあるBGMがとても多かったです。
怖い雰囲気のシーンでは怖いBGMが使われ、ボス戦などのアクションシーンでは緊張感を上げてくるBGMが用意されていました。さらにアトラクションエリアごとに流れるBGMが設定されているので、BGMに関しての手抜き感は一切感じませんでした。
グラフィック
このゲームの一つの売りにしている部分がグラフィックです。光の処理には最新のレイトレーシングが使われており、特に床やガラスなどの反射処理がハイクオリティに作られていました。
グラフィックの出来は他のAAA級作品に劣らず、ゲームの雰囲気作りにうまく活用できていると思いました。
このゲームの残念ポイント
最適化不足と未だに残るバグ
一番本作のゲームプレイを妨げている要素が、最適化不足による処理落ちとバグです。
よりテーマパークの雰囲気を引き出そうとしたのか、施設内にはたくさんの物が配置されています。そのため少しかくついてしまう時もしばしばあります。
また巨大な施設や階層を一気に読み込む、エレベーター内や階段では一時的にかなり重くなります。とはいえ何倍も広いマップを読み込むオープンワールド型ゲームでかくつかない作品も多いので、最適化不足と言わざるを得ません。
さらにほとんどのバグは修正されているものの、発生確率100%のバグや発生すると詰んでしまうバグが少し残っています。
とあるアニマトロニクスの動作音だけが残り続けたり、演出で動くはずのキャラクターが動かなかったりと、進行を妨げるタイプのバグというよりも雰囲気を壊すタイプのバグが多い印象です。
万が一に備えて、セーブを行う際は「新規データに保存」を行うことを推奨しておきます。
わかりにくい説明
ミッションの指示や説明を主にフレディが行うのですが、「〇〇に行け」と聞いたこともない場所を指すわけですから、マップ中を探し回ることも度々ありました。
さらにこのゲームには散策ゲーらしくマップ機能があるのですが、全くマップとして機能を果たしておらず、施設の名称、ミッションの場所などを一切教えてくれません。
ちなみにアンロックされている施設(入ることができる)を表示する機能がマップにあるように見えますが、未だ実装されていません。歩き回る楽しさを味わってほしいという意図があるのかもしれませんが、ゲームとしては少し微妙です。
DLC「FNAF:RUIN」が無料で配信決定
ストーリーの後日談を描くダウンロードコンテンツ、「RUIN」が2023年7月25日に配信されます。
RUINの特徴は深淵と閉所であり、SecurityBreach本編の明るくて広いコンセプトとは真逆の内容となっています。
おそらく過去のシリーズを含めてもトップクラスの恐怖を味わえる作品となるでしょう。この機会に本作を遊んでみてはいかかでしょうか。
総評とまとめ
総合評価:
操作性・システム:
音楽・効果音:
グラフィック・デザイン:
ストーリー・ゲームプレイ:
恐怖度:
>良かったところ
- しっかりと怖く、ひとつひとつのミッションが楽しい
- テーマパークにいる気分でわくわくできる
- キャラクターの動作や小物の設置物など、作りこみが感じられる
- 音楽とグラフィックによる没入感がすごい
>悪かったところ
- 雑な演出と説明で進行がグダグダになりがち
- 最適化がさえていない部分がある