Five Nights at Freddy’s : Security Breachとは?
今回は人気ホラーシリーズFive Nights at Freddy’sの最新作である、「Five Nights at Freddy’s : Security Breach(以下FNaF:SB)」のレビューをしていきます。
今作はFNaFシリーズとして初の散策ホラー作品であり、発売前のファンからの期待度が高まっていた作品です。
本レビューでは極力ネタバレを避けてはいますが、“少しのネタバレもされたくない”という方は「レビュー」以下の閲覧は控えていただきますようお願いします。
あらすじ
舞台はFazbear Entertaiment社が運営する、巨大なテーマパーク「メガ・ピザプレックス」。
ここではピザなどの飲食だけでなく、様々なアトラクションや”マスコットキャラクター”たちによるライブを楽しむことが出来ます。

しかしとある日、ライブをいつものようにしていたフレディが原因不明のエラーにより故障。
修理が行われ、楽屋で目を覚ましたフレディは自身のお腹に誰かがいることに気づきます。
お腹のハッチの中にいたのは、自身を“グレゴリー”と名乗る少年でした。
「この場所から抜け出したい」と言うグレゴリーを、フレディは手伝うことにします。
プレイヤーは少年グレゴリーを操作し、メガ・ピザプレックスからの脱出を目指すのでした。
ゲームルール
ステルスホラー
今作はいつものFNaFとは一風変わって、アニマトロニクス達に見つからないよう店舗の散策を進める、ステルスホラーアクションとなっています。
時にはゴミ箱の中に身を潜めたり、アイテムを使用してアニマトロニクスの捜索から逃れましょう。
アニマトロニクスから逃れるために一番重要なのが、ファズウォッチの監視カメラを適度に見ること。カメラで敵の位置を確認しながら前に進みましょう。
捕まるとゲームオーバー
過去作と同じように体力性ではないので、つかまってしまうと即ゲームオーバーとなります。
今作は雰囲気ホラーというよりも、ビックリ要素が強いホラー作品となっています。
このゲームの評判
まずこのゲームに対する世間的な評判をご紹介します。

このゲームのメタスコアは64点、ユーザースコアは5.6点となっています。
メタスコアとは、世界中のメディアの評価を平均化した数値指標です。そのためメタスコアを見ることで、世間的な評価を知ることが出来ます。
個人的見解ではありますが、メタスコアの基準は0点~60点がいわゆる「クソゲー」、61点~79点が「賛否両論(凡作)」、80点~90点が「良作」、90点以上が「名作」だと考えています。
ですので今作は、良いところもあるが悪いところもある、凡作といったところです。
このゲームの感想と評価
キャラクター達の動作
今作で最もこだわりを感じたのが各キャラクターの動作です。
今作の敵であるアニマトロにクス達の、動き回る動作、追いかける動作、さらにはムービー内での動作がまるで本物のロボットを見ているかのような仕上がりになっています。

細かい動作まで再現されていたので驚きました…
これには訳があり、このゲームの開発元である「スチールウールスタジオ」は、なんとトイストーリーなどで有名なピクサー社の社員5人が立ち上げたゲームメーカなんです。
なのでキャラクターの動作などのアニメーション技術にもともと長けているわけです。

そのため、ゲーム中でたびたび使われるムービーはインディーズとは思えない出来です。
ですがゲームとしての出来は…この後説明いたします。
アクションを盛り上げるBGM
BGMもよく作られており、何度も聞きたくなるような癖のあるBGMがとても多かったです。
怖い雰囲気のシーンでは、怖いBGMが使われ、ボス戦などのアクションシーンでも盛り上がるBGMがしっかりと用意されていました。
さらにエリアごとに流れるBGMが設定されているので、BGMに関しての手抜き感は一切感じませんでした。
グラフィック
このゲームの一つの売りにしている部分がグラフィックです。
光の処理には最新のレイトレーシングが使われており、特に床やガラスなどの反射処理がハイクオリティに作られていました。

ただグラフィックやオブジェクトの配置をこだわった結果、ものすごく処理の重いゲームとなってしまいました。
現在(2022/12)ではロードを適度に挟むなどして最適化が行われ多少マシになっていますが、発売から数か月の間はハイスペックPCですら途中で固まってしまうほどのロードの重さが非難の的になっていました。
またレイトレーシングなどを導入している割にはテクスチャの出来が悪く、AAA級のゲームと比べると見劣りします。
ボリューム
ボリュームは過去作と比べて増大しており、普通にクリアを目指す場合最低10時間ほど要します。
さらにルート分岐や、コレクションアイテム、イースターエッグなども用意されているので、値段以上のボリュームでした。
気軽に遊べるホラーゲームというコンセプトだったのに…
個人的にFive Nights at Freddy’sシリーズの他のホラゲーにはない良いところは、“気軽にプレイできること”と思っていた筆者ですが今作はじっくりプレイできるストーリーゲー。
ホラーゲームにはストーリーが付きものですが、本シリーズは他に比べて単純なシステムになっており(難易度は異次元に高いが)、1夜1夜をサクサクと進められるという特徴がありました。
しかし今作はストーリーが前面に出ていることに加え、グラフィック面から割と高性能なPCが必要となります。

バグも含めてサクサク遊べるとは言えない、コンセプトを崩してしまっているのが残念でした。
そもそも怖い作品なのか
ホラーゲームで怖いか怖くいかを左右するのが、現実で実際に起こりそうな雰囲気作りだと考えています。つまりホラーゲームには現実味が大切なわけです。
しかしなぜか今作では、まるでアニメ類の世界を感じさせるテクスチャになっており、恐怖度を低下させる一つの要因になっている気がします。

また至る所に小物が設置されているのですが、それでもなおアニメ感が強く、怖い雰囲気が出にくくなってしまっています。
過去作(特にFNAF1~FNAF4)のようなリアルなデザインであれば、もっと恐ろしい作品になったと思います。
もちろん一応ホラー作品なので、ハラハラさせるシーンもたくさん存在しますが。
わかりにくい説明
ミッションの指示や説明を主にフレディが行うのですが、「〇〇に行け」と聞いたこともない場所を指すわけですから、マップ中を探し回ることも度々ありました。
さらにこのゲームには散策ゲーらしくマップ機能があるのですが、全くマップとして機能を果たしておらず、施設の名称、ミッションの場所などを一切教えてくれません。
ちなみにアンロックされている施設(入ることができる)を表示する機能がマップにあるように見えますが、未だ実装されていません。
ですので結局店内を”ミッションの場所はどこなのか”探し回ることになります。
未だに残るバグ
発売から一年たった本作ですが、未だに優先的に直すべきバグが残っています。
とあるアニマトロニクスの動作音だけが残り続けたり、演出で動くはずのキャラクターが動かなかったりと、進行を妨げるタイプのバグというよりも雰囲気を壊すタイプのバグが多い印象です。
このゲームには複数回修正パッチが追加されていますが、発売直後から修正されずにいます。
際立つゲームデザインの雑さ
演出がとにかく雑。プレイヤーを故意に困惑させる演出が所々あり、プレイ中かなり気になりました。

ネタバレになるので詳しくは触れませんが、プレイすれば理解できるはず
そもそもホラゲーとして遊ぶべきではないのかも…
雰囲気が全体的に明るめで、さらにイラスト調のデザインであるためずっとドキドキさせられるといった内容ではありませんでした。
少なくとも雰囲気ホラーとは言えないので、ホラー慣れしているプレイヤーの皆さんはホラゲーとしてこのゲームを選ぶのではなくアクションゲーとして選ぶことをお勧めします。

ただしFNAF特有のキモカワイイキャラクターデザインは健在。
しっかりとその不気味さは残っています。
総評とまとめ
総合評価:
操作性・システム:
音楽・効果音:
グラフィック・デザイン:
ストーリー・ゲームプレイ:
恐怖度:・・・DLC(2023)に期待
>良かったところ
- 値段に見合わないほどのボリュームが大きい
- キャラクターの動作や小物の設置物など、作りこみが感じられる
- 音楽とグラフィックが良い
>悪かったところ
- 雑な演出と説明で進行がグダグダに
- 雰囲気を破壊するバグが複数存在
- ホラー慣れしているプレイヤーからしてみればあまり怖く感じかも
結論 FNaFファンにはお勧めできる作品
本作はエンディングが複数用意されているマルチエンディングを採用していますが、FNAFシリーズの1作品故にストーリを一つに絞らなければなりません。
ですがプレイヤーからも本筋のエンディングと分かるようになっていた点はよかったと思います。
しかしエンディングの内容が、過去作をプレイしていないと理解できないものがほとんどです。
ですので特に本筋のルートを達成したとしても、新規プレイヤーは達成感を感じづらいでしょう。
新規プレイヤーお断り作品となっているので、シリーズの過去作品の内容を頭に入れておくことをお勧めします。